筋膜と筋膜の状態

筋膜は、筋肉を包むだけの膜ではありません。筋肉・骨・関節などをつなぎながら全身に広がり、身体を動かす際の力の伝達や、組織同士の滑らかな滑走にも関わっています。

筋膜の層と層の間には、潤滑の役割を担うヒアルロン酸が豊富に存在します。

同じ動作の繰り返しや長期間の負担、外傷などを背景に、ヒアルロン酸の粘性が高まり、筋膜の滑走性が低下することがあります。

こうした変化によって動作時の抵抗が増えたり、筋膜に存在する感覚受容器や侵害受容に関わる神経終末への刺激が変化したりすることで、痛みや動きにくさの一因になる可能性があります。

摩擦と熱を利用した筋膜へのアプローチ

当院では、身体全体の動きや症状の経過を評価し、筋膜の滑走性が低下していると考えられる特定のポイントに対して、徒手的な刺激を加えます。

特徴の一つが、一定の圧と摩擦によって局所に熱と機械的刺激を生じさせることです。

こうした刺激によって、筋膜間のヒアルロン酸の粘性や凝集状態が変化し、組織同士が滑らかに動きやすい状態へ向かうことが考えられています。

このような変化には、局所の温度上昇や機械的刺激が関与すると考えられています。

痛い場所だけを施術するわけではありません

当院の大きな特徴は、痛みがある場所と、実際にアプローチする場所が必ずしも同じではないことです。

身体の動きは、複数の筋肉や筋膜が連動することで成り立っています。

例えば肩が痛む場合でも、首、胸郭、背中、骨盤などを含めた動きの連鎖を評価すると、肩以外の場所に筋膜の滑走性低下がみられることがあります。

そのため当院では、「肩が痛いから肩を揉む」という局所的な施術ではなく、身体全体の動きや過去の怪我、生活動作、スポーツ動作などを確認しながら、施術するポイントを選択します。

痛みだけでなく、動きや筋出力もみます

筋膜の滑走性や感覚入力が変化すると、身体が動かしやすくなったり、運動時の力の発揮が変化したりすることがあります。

当院では、「筋膜を触ればすべて治る」という考え方ではなく、理学療法士としての評価をもとに、

  • 痛みの軽減
  • 関節や身体の動きの改善
  • 適切な筋出力の回復
  • スポーツ動作・運動パフォーマンスの向上

などを目標として、一人ひとりの状態に合わせて施術を行います。